TCO(Total Cost of Ownership)は導入から廃棄までの総コスト
投稿日: 2024-05-07最終更新日: 2024-05-07TCO(Total Cost of Ownership=総保有コスト)とは
TCOとは、Total Cost of Ownershipの略で、日本語では「総保有コスト」と呼ばれます。
ITシステムでは、導入時に必要な開発費や機器の購入にかかる初期費用(イニシャルコスト)、運用中に発生する保守費用や管理費用、変更対応費用、利用終了時の撤去や後継システムへの引き継ぎ費用など、システムに関する費用の総額を指します。
近年、SaaSに代表されるクラウドサービスが浸透し、さまざまな企業がオペレーションや顧客接点などでDXを進めやすくなりました。クラウド化によりシステム導入時の初期費用は抑えられるようになりましたが、運用上のカスタマイズや他システムへの移行が難しくなり、維持費や管理費、管理の手間が増えることが課題となっています。
このような課題を抱える企業では、利用しているシステムを洗い出し、それぞれの利用率やコストを把握したうえで費用対効果(ROI)を見直し、適正化を目指す動きを取る場合があります。
「見えやすいコスト」と「見えにくいコスト」
TCOとして挙げられるコストには、「見えやすいコスト」と「見えにくいコスト」の2種類があります。これらの分類に当てはまるコストを検討しながら把握することが、費用対効果の適正化や業務効率化につながります。
見えやすいコストの一例
- ハードウェアの代金
- ソフトウェアの代金(利用料や開発費用)
- 初期導入費用
見えにくいコストの一例
- 維持管理にかかるコスト
- オペレーターや従業員が対象システムを使いこなせるまでに必要な研修費用、人件費
- 初期導入完了から実際のオペレーション開始までにかかる準備費用と時間
- 不具合やトラブル発生時のコスト
- 不具合やトラブルに備えるための事前対策コスト
- 将来、別のシステムに乗り換えるためのコスト
ITシステムにおける「見えないコスト」
ITシステムでは、その用途や影響範囲に応じて、企画段階で「見えにくいコスト」をできるだけ抑える必要があります。
新システムの場合、その全てを把握することは難しい場合もありますが、リスクの把握にもつながるため、できる限り検討を進めることが有用です。
そのうえで、全て把握することが難しい「見えにくいコスト」に対して、一定の予算を計上しておくことや、事前に対策を講じておくことが、システム運用におけるポイントとなります。