ビジュアル化による営業管理の一例:Salesforceダッシュボード管理


エピソード

営業成績を模造紙で張り出していた時代、日本IBMで実際に行われていた事例として、売上と経費を並べる方法がありました。営業の使う経費は、そのほとんどが交通費、出張費、そして接待交際費です。

この話を教えてくれた営業部長は、運用ルールを厳しくメンバーに指示せず、ただ張り出していたそうです。期初は売上と経費がバラバラになりますが、期末に近づくにつれて、自然と売上順位と経費の順位が揃うと教えてくれました。

売上経費を並べるイメージ
売上経費を並べるイメージ

このエピソードは、ビジュアル化によるチーム管理の良い一例と言えます。

運用ルールを浸透させるためには、上司や管理者が何度も繰り返し運用を徹底させるための説明や注意を行うことが多くなりがちです。しかし、このエピソードでは、運用ルールの浸透に苦労せず、自然と浸透したように見えます。

すべての場合に同じ手法が使えるわけではありませんが、参考になる一例です。

なお、このビジュアル化によるチーム管理には以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 運用ルールが明確でシンプル
  • 誰でも現状を確認できる状態になっている
  • 他人と比較する心理を利用している

ダッシュボード:ライトモードとダークモード

Salesforceのダッシュボードには、ライトモードとダークモードの2つのモードがあります。

単に画面上の見やすさから好みで選んでも良いのですが、グラフに意味を持たせるために利用することもできます。

弊社では、ライトモードを利用している場合は「増えるほうが良い指標」であるとし、ダークモードの場合には「減るほうが良い指標」と定義して利用しています。これにより、グラフを見るときの共通理解を作ることができるようになります。

ライトモードの例
ライトモードの例
ダークモードの例
ダークモードの例

アクションと入力を推進する仕掛け

Salesforceを始めとするCRMシステムは、データの入力と更新が肝心です。CRM上のデータを分析・評価して様々な事業企画の意思決定に進むことができるため、CRMデータの入力・更新をできるだけリアルタイムに行っていく必要があります。

法人営業のデータを収集・管理する際、特に月や年度をまたぐ際にデータの未更新が増えるため、未更新の検知と現場への入力指示が重要です。未更新データの一例としては以下のようなものが挙げられます。

未更新データの一例

  • 今月クローズ予定の案件
  • クローズ予定が先月の案件
  • 案件情報の更新がないまま2週間以上経過した案件
  • 一定期間の間に顧客へのアクションを済ませるリストの残数

準備ステップ

繰り返し確認しておきたい、未更新データを決める
  • 前述の「未更新データの一例」のように、現場担当者に定期的に更新してほしい対象データを決めます。
未更新を許容できる期限を決める
  • 本来、対象データを定期的に更新するための理想的な期限を検討します。
  • そのうえで、初めて運用をする場合には、理想的な期限では対象データが多くなりすぎる場合があるため、状況に応じて「最低限」の期限も決めておくと良いでしょう。
許容できる期限を超えた未更新データを抽出する
  • 対象データが多くなりすぎると、現場担当者へのデータ更新負荷が増え、場合によってはデータ更新に協力をしてもらえなかったり、時間がかかりすぎる場合があります。
  • 初期の運用では、対象データの件数に応じて、期限を柔軟に調整し、徐々に本来の期限に近づけていくと良いでしょう。
Salesforceダッシュボード上でグラフ化する
  • グラフ化の際には、担当チームや担当者ごとにグラフ化すると良いでしょう。これにより、担当者の自分ごと化を図ることができます。
  • ここでは「未更新データ=減ったほうがいい指標」となるため、ダークモードで表現することをおすすめします。
ダッシュボードを定期的に更新し、担当者とコミュニケーションを図る
  • Salesforceダッシュボードは自動更新されないため、定期的に更新する必要があります。
  • 担当者とのコミュニケーションでは、運用ルールが厳しすぎないか、緩すぎないか、現場の反応を確認しながら運用することが重要です。運用ルールを徹底するためにも、現場の反応をみて、運用ルールを柔軟に運用すると良いでしょう。

グラフの運用イメージ

このセクションでは、ダッシュボード上でのグラフの運用イメージを紹介します。

グラフの運用イメージ
ダークモードで、未対応件数を表示するイメージ

担当者のデータ更新が進むと、このグラフに表示される未更新データの件数と、担当者の数が減っていきます。組織の中には、指示に素早く取り組むメンバーと、そうではないメンバーがいるものですが、指示に素早く取り組むメンバーから件数が減っていくことで、対応の遅いメンバーにも対応しなければならないという認識を持たせることができるようになり、全体のデータ更新が進んでいきます。

また、この運用を導入し始める際には、ある程度許容できる期間を理想よりも長くとる必要がありますが、運用しながら徐々に理想の期間に近づけていくことができます。